あの頃の私は、思考停止していたと思う。
元夫がビジネスを始めると言い出したとき、正直反対だった。でも聞き入れてもらえなかった。「成功するかもしれない」と、自分に言い聞かせるように諦めた。
元夫は旅行代理店を18年間営業し、3店舗まで展開した。他にもスナック、ネットカフェ。銀行から融資を受けるたびに、私の不安は大きくなっていった。そしてリーマンショックの年、1億1千万円の負債を抱えて破産した。
家を失い、子どもたちと4人で引っ越した。長男と長女はすでに社会人、次男は専門学校生だった。夫は「金沢にいられない」と各地を転々とした。友達とは連絡を取り合うのに、家族には会いに来なかった。
そのとき静かに気持ちが決まった。離婚しよう、と。
新しい生活が始まった。事務の派遣社員、そして週3回のコールセンター勤務。ダブルワークで、なんとか食べていけた。
そこそこ元気だし、人生を歩いていく力があるのかもしれない。
そう思い始めた瞬間から、景色が変わった気がした。
今、64歳。パートナーに合わせなくていい毎日は、思っていたより悪くない。むしろ、清々しい


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